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- 協働ロボットについて基礎知識から導入手順まで徹底解説
協働ロボットについて
1. 協働ロボットとは?
近年、人手不足等によって注目されている協働ロボット。
従来の高出力産業用ロボットの持つ課題に対応し、ロボット利用者を広げていく製品として注目を浴びています。
協働ロボットとは「人と同じスペースで働くことができるロボット」
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従来の高出力産業用ロボット
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協業ロボット
性能の特徴
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低出力・小型設計、力制御による安全性担保
- ・従来の産業用ロボットと異なり、安全柵なしでも設置できる
- ・人の作業スペースに割って入った設置ができる為、省スペースで利用できる
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簡単に操作できるティーチングシステムの実装
- ・システム構築費用等の初期導入コストが低く抑えられる
- ・細かい調整を行う際に外部業者に頼まずとも、自社でティーチングできる
- ・プログラムの切り替えが簡単な為、複数工程への転用等、柔軟な利用が可能となる
これらは、従来の高出力産業用ロボットの持つ以下の課題対応するものであり、産業用ロボット導入によるメリット「厳しい環境利用、品質向上、生産性向上」を享受できる対象者を広げていく製品と位置づけられています。
- ・柵設置の大スペース確保が必須
- ・外部専門業者委託による導入コストの高騰
- ・位置が固定されてしまって複数用途利用困難等、柔軟性が不足
また、一般に高出力産業用ロボットに比較すると、協働ロボットの方がロボット単独では高価格となっていることが多いのは安全性確保の為の機器、専用のティーチングシステムが含まれていることによります。価格比較時は導入時外部業者委託費用や他用途への転用費用込みで比較されることをお勧めいたします。
【参考:従来の高出力産業用ロボットと協働ロボットの比較一覧表】
産業用ロボット | 協働ロボット | |
---|---|---|
ヒトとの関係 | ヒトの代わりに | ヒトと一緒に |
設置場所 | 柵の設置が可能な大型ライン | 柵が不要な省スペース |
作業内容 | 単純作業の繰り返し | 多様なニーズに柔軟対応 |
対象物 | 同品種大量生産 | 比較的少量対応可能 |
用途例 | 自動車産業で溶接・塗装 等 | 多様な産業の組立、搬送 等 |
制御(※) | 位置制御が中心 | 位置制御+力制御による安全性担保 |
(※)位置制御:ロボットのサーボ機構の目標値を位置または角度として制御を行うこと
力制御(トルク制御):ロボットの手先などに取り付けた力覚センサを用いて力による制御を行うこと
協働ロボットと産業用ロボットの違いについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:「協働ロボット」とは? -従来の産業用ロボットとの違いや基礎知識-
2. 協働ロボット導入の増加理由
近年、協働ロボットの導入が増えている理由は主に二つです。
一つ目は柔軟性と使いやすさです。協働ロボットはセットアップが比較的容易なため、生産ラインの変更にも柔軟に対応できます。
二つ目は規制緩和です。2013年にロボットの使用規制が緩和され、人と同じ空間で協働ロボットを使用できるようになり、人間とロボットが協働する環境が容易に構築できるようになりました。
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①ティーチング負荷の軽減
ロボットはプログラミングにより決められた動作を行いますが、この動作を決める作業がティーチングです。
ティーチングは、ロボット本体を手で直接動かすことで簡単に動作を教えることができたり、タブレット端末のようなティーチングペンダントによって直感的操作が可能になったり、また最近ではプラグラミング不要なアプリケーションが登場したりと、ティーチングを容易にする技術が進化しています。- 生産ラインの組み換えなどによるプログラミング変更の負担からの解放
- 実装期間の短縮
フレキシブルな生産ラインの実現
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②80Wの規制緩和
2013年12月の規則改正により、今まで80W以上のロボットは柵で囲い人の作業スペースから隔離しなければならなかったのが、一定の条件(※)を満たせば、人と同じ作業スペースで働くことが可能になりました。
※ロボットメーカーやユーザーが、国際標準化機構(ISO)の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じること
(「産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正」通知)- 柵の設置からの解放
- スペースの確保からの解放
- 手間・負担・コストからの解放
省スペース生産ラインの実現
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③安全性技術の進化
規制緩和以降、ロボットメーカー各社は、安全性を上げるべく技術向上に取り組み、安全性の確保が容易に実現できるようになりました。
3. 協働ロボットが注目される背景
従来の産業用ロボットとは異なる協働ロボットが注目を集める背景は三点です。
一つ目は少子高齢化による労働人口不足です。働き手となる年齢層が減少し、さらに近年の働き方改革の推進により1人あたりの労働時間を抑えなければいけません。人手確保、生産性向上といった課題は早急に対処する必要があります。
二つ目は消費者ニーズの多様化です。幅広い製品を少しずつ生産する多品種少量生産が求められ、そのためには柔軟に移動やプログラム変更が可能なロボットが必要となりました。
三つ目は自動化(FA)需要の増加です。2020年初頭から拡大した新型コロナウィルス感染症によりソーシャルディスタンスといった感染予防策が求められ、人と代替可能な作業を協働ロボットに任せれば、生産ラインの省人化を実現し、人と人との距離も保てるようになります。
協働ロボット市場が注目される背景について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:注目を集める協働ロボット -その背景や協働ロボット市場について-
4. 協働ロボットの代表的なメーカー
①ユニバーサルロボット
ユニバーサルロボットは、協働ロボットの世界シェア1位を誇ります。特徴として、迅速なセットアップ、簡単なプログラミング、そして「UR+」という認証製品による周辺機器の手軽な接続が挙げられます。 無償のオンライントレーニングが提供されており、段階的にロボットのプログラミングスキルを習得できます。
ユニバーサルロボットについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:ユニバーサルロボットとは? -協働ロボットの世界シェアNo1製品の特徴をご紹介-
②テックマンロボット
テックマンロボットの特徴は、世界初のカメラ内蔵型ロボットで、視覚認識に基づく動作の設定が簡単に行えて、追加の設備費用も不要のため高コストパフォーマンスと言えます。また、ボタン操作による位置決めとフローチャート式の直感的なプログラムにより容易に設定ができます。
テックマンロボットついて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:テックマンロボットとは? -多くの企業で活躍中の製品の特徴をご紹介-
5. 協働ロボット導入に要するコスト
協働ロボットの導入には、ロボット本体価格、周辺機器の価格、そして人材育成費用が必要です。
ロボット本体の価格は一般的に200万~500万円程度で、性能やサイズ、メーカーにより異なります。そして、グリッパーやセンサー、設置のための架台などの周辺機器も必要となり、工程によっては、加工機などの周辺設備、PLCとの連携に掛かるコストも考慮する必要があります。
さらに、協働ロボットを効果的に活用するためには、専門的な知識を持つ人材が必要です。協働ロボットは操作が容易とされていますが、メンテナンスやトラブル対応のために、ロボットの使用方法や管理方法を習得するための教育、人材育成は必要です。
これらすべての要素を考慮して、導入の費用を計画する必要があります。
協働ロボットの導入コストについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:協働ロボットの価格はどれくらい? -導入コストの考え方について-
6. 協働ロボット導入の手順
協働ロボット導入のための流れは以下の通りです。
まずは、現場の課題を明確にし、課題解決の方法を検討します。次に、課題解決に向けて、協働ロボットの必要要件や人とロボットの作業領域を検討し、作業内容や使用環境を考慮して適切なロボットや機器の選定、ロボット周辺環境の設計や協働ロボットの動作を制御するプログラムの設計を行います。またリスクアセスメントを行い安全性を確保することも重要です。
ライン稼働開始前にはテストを実施し、稼働後は導入効果の測定や保守管理を定期的に行い、人材育成も進めます。
これらのプロセスは、具体的な課題解決に向けた戦略的なステップとして重要です。
協働ロボットの導入手順について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お役立ち情報:協働ロボットを導入する際の手順とは? -導入時のポイントを解説-
7. 協働ロボット導入を支援する制度の紹介
さらに、ロボットの導入を支援する制度にはさまざまなものがあり是非ご活用をお勧めします。
支援対象や申込方法など詳細につきましては、各制度のお問い合わせ窓口にお願いいたします。
導入支援制度については以下のページで一部紹介しています。
お役立ち情報:協働ロボット導入を支援する制度の紹介