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2022.02.09

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協働ロボットを安全に使うポイントとは? -規格や制限事項を知ろうー

協働ロボットを安全に使用するために、ISOやJISではロボット稼働時の安全に関する規格が定められています。それらを遵守することで規制緩和の対象にもなり、ロボットと人が同じ空間で働くことが可能になります。
この記事では、協働ロボットを安全に使うための規格や、リスクアセスメントについて解説します。

■規制緩和で協働ロボットを幅広いシーンで使用可能に

産業用ロボットには、ロボットによる事故を防ぎ、作業者の安全を確保するために、以下の規格が設けられています。
・ISO10218-1:産業用ロボットに対する安全規格
・ISO10218-2:ロボットシステムに対する安全規格
・ISO/TS15066:ISO10218-1の補足をするための協働ロボットの安全規格

人との協働を目的とした協働ロボットにもこれらの規格は適応され、安全を守る一方で協働ロボットを有効に活用する際の障壁になっていました。しかし近年、協働ロボットに関する規格や規制が緩和され、「人とロボットの協働」を実現するための環境整備が進んでいます。 例えば、「80W規制の緩和」です。

80W規制の緩和

労働安全衛生法に記載のある、産業用ロボットに関する労働安全衛生規則の改定が行われています。改定前は、出力80W以上のロボットは安全柵で囲うなど、ロボットの可動範囲内に人が入らないように対策を講じなければなりませんでした。 改定後は、安全についての一定条件を満たせば、80W以上のロボットも安全柵を設置せず人と協働可能となっています。

■安全な協働ロボットに対する要求機能

規制緩和の条件を満たしながら協働ロボットを安全に稼働させるには、いくつかの機能が要求されます。 ISOでは、次のような基準と機能を定めています。

項目 説明
安全のための監視および停止機能 産業用ロボットは、可動範囲内に作業者が存在している際は停止しなければならず、作業者が可動範囲から離れた後に作業に復帰して良いと定められていますが、協働ロボットに関しては、作業者が共同空間に存在しても停止する必要がなく、作業の継続が可能です。
ハンドガイドに関する規格 ハンドガイドとは、協働ロボットを操作するための装置のことです。ハンドガイドはエンドエフェクタの近くに設置し、非常停止装置とイネーブルスイッチを備えている必要があります。 また、ティーチング作業中のロボットの移動速度は、250mm/sを超えてはならないと定められています。
協働作業時のロボットの速度と人との間隔 ロボットは安全な速度と人との間隔を保たなければならず、不具合検出時は保護停止になる機能が必要です。また、ロボットを制御するアプリケーションは、リスクアセスメントによって決定することが求められています。 ロボットの速度については、作業者との安全間隔距離を考慮して計算する必要があります。
本質設計または制御による動力と力の制限条件 ロボットの動力や力を制限する機能は、ロボットの安全機能を喪失させないこととされています。制限値を超えた場合には、ロボットを停止させられる制御設計が必要です。

■協働ロボットにおけるリスクアセスメントの手順

協働ロボットを安全に使用するには、リスクアセスメントが重要です。基本安全規格であるISO 12100では、リスクアセスメントを論理的に実行し、リスクを低減するための方策を定めています。 リスクアセスメントを行う際は、この規格を参考にして、次のような手順で行うと効果的です。

機械類の制限の決定

ロボットおよび周辺機器の使用方法に関して、意図している使用と、意図しない誤使用とを明確にし、使用上の制限を決定します。 この制限をもとに、ロボットと作業者の協働スペースのレイアウトやロボットの運転寿命、部品の交換寿命、メンテナンスの間隔などを定めます。

危険源の同定

作業中の安全を維持して事故を防ぐには、危険源の同定が欠かせません。同定とは、危険源や危険状態、危険事象を見つけだすことです。 代表的な危険源としては、機械の巻き込みや接触、感電、アーク火災、熱源による火傷または低温による凍傷、騒音・振動障害、紫外線や赤外線照射による人体への障害、材料物質による呼吸障害や過敏症の発生、作業内容に関しての精神的負荷などが考えられます。 それらの危険源のチェックリストを作成し、ハザード分析を行います。

リスクの見積もり・評価

リスクとは、身体的障害または健康障害など、作業者に危害が発生する確率と危害の重大度との組合せとして考えます。「事故が起こった際の重大度」×「事故の発生確率」によってリスクを数値化し、評価の結果からリスク低減の必要性を検討します。

■ユーザーとメーカーの相互の安全管理が重要

協働ロボットは汎用性が高く、ユーザーごとに使用の目的や業務内容、作業者との作業の分担方法、制御条件など、使用環境が異なります。そのため、安全管理は個々の環境に合わせて行うことが重要です。

また、メーカーからユーザーへ、アセスメントに必要な情報を提供することも欠かせません。ユーザーとメーカーが両面から安全管理を行うことで、より安全性の高い協働ロボットの運用が可能になります。

■安全管理を行って協働ロボットを運用しよう

規制緩和によって、協働ロボットは幅広いシーンで使用可能になり、導入しやすくなっています。しかし、リスク発生の可能性を想定しながら運用することは、規制緩和下においても必須です。適切な安全管理を必ず行って、協働ロボットを安全かつ有効に活用しましょう。